では、何故糖尿病が現在の日本で問題といわれているのでしょうか? 糖尿病の患者数(2002年:約740万人、2020年の予想:約1400万人)は、近年増加する一方です。現状のままでは、糖尿病の3大合併症と呼ばれる細い血管の障害(神経症・網膜症・腎症)が増加し、それに伴うQOL(quality of life:生活の質)の低下、具体的には失明(後天性の失明理由1位)や透析(透析導入理由の1位)、壊疽による下肢切断などを生じる割合が増えることが予想されます。また、死亡率の高い大血管合併症(心筋梗塞、脳卒中)による、健康寿命の短縮、医療費の増大、労働力逸失による経済損失増、など国家的不利益の増加も心配されています。残念ながら大血管合併症を有効に抑制する方法は、国内外を問わず確立されていないのが現状です。